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2019/05/26 15:28

2色ミラクルはこの先生きのこれるのか?

皆さん、レガシーしてますか?

私は2019/05/25にKMCに参加してきました。

結果は2連勝からの3連敗でドロップ。いい成績ではありませんでした。

さて、そんな私がどのようなレシピを使ったかというと、こんな感じです。


(土地は割愛)


サイドボードはいろいろお試し中なので、適当ですが、一応載せておきます。


モダンホライゾンで、基本土地フェッチが出るので、それに向けて2色のミラクルの感触を確かめたくて、2色にしました。

ただ、大会中に3色の方が強いなと感じる場面が多々あり、「現環境では2色は無理なぁ・・・・」というのが本音でした。

ところが、大会後に同日東京で行われていたレガシー神挑戦者決定戦を見てみると、TOP8に奇跡が2つも入っているではないですか!

早速デッキレシピを見に行くと。


そこにいたのは高橋プロ!しかもデッキは2色!

TOP8に入っているという圧倒的な結果の前には「2色だと現環境は無理」と弱音を吐くことはできません。
なぜ「2色デッキで勝てたのか?」を考えてみる必要があります。

私のデッキとの大きな違いで一番目につくのは

呪文貫きがメインに3枚ある!


ほんの少し前までは、呪文貫きより狼狽の嵐の方が評価されていましたが、ドミナリアのカーンの登場以降から増えてきて、灯争大戦のカーンで爆発的に増えたアーティファクト主体のデッキや、ポストに対して有効に働く上に、灯争大戦で参入してきた3マナのテフェリー&ナーセットにも役割が持てるカードとして(ミラクル界では)評価が急上昇してきたカードです。

さて、メインに3枚の呪文貫きをとっている構成なのですが、ここで注目すべき部分は「いかにしてその枠を割いたか」という点です。

同様に、TOP8に残った小林さんのレシピも見てみましょう

ここで注目すべきポイントは「意志の力以外で、打ち消しがどれだけ入っているか」です。
(相殺は「構える」カードではないのでここでは除外します)

高橋プロ:呪文貫き3, 対抗呪文1

小林さん:呪文嵌め1,紅蓮破1,対抗呪文2

両者ともに、4枚の打ち消しを採用していることがわかります。

これは現環境の奇跡の特徴で、「意志の力以外に打ち消し4枚」というのは黄金パターンなのです。

つまり、呪文貫き3枚というのは「対抗呪文の代わりに呪文貫き」という形をとっていることがわかります。

この構成の利点を考えると、「対抗呪文なら対処できるけど、呪文貫きなら対処できないカード」が環境にどれだけいるかが重要になってきます。

字面の上では「クリーチャー呪文全て」になるわけですけれども、注意しなければいけないのは「ミラクルは剣を鍬にを持っているため、着地しても対応できるクリーチャーは怖くない」という点です。

グルマグのアンコウやタルモゴイフのような実質バニラクリーチャーがその筆頭ですね。

それらを除外していくと、「厄介なETBもち」「呪禁(被覆)持ち」が残ることになります。

さらに言えば、一部のクリーチャーは魂の洞窟経由で出てきたり、霊気の薬瓶経由で出てくるカードたちなので、対抗呪文の信頼性が高いというわけでもありません。
(例えば、難題の予見者, 現実を砕くものといった厄介なエルドラージや、デスタクのクリーチャー群などは対抗呪文で対処できないシーンが多いです)

また、1マナクリーチャーも対抗呪文で処理できないパターンがあるので、対抗呪文の呪文貫きに対する優位性は減少します(例えば、カナスレのマングースとか)

そうやって、「剣鋤で除去できない(あるいは、しても意味がない)」「バイアルや魂の洞窟経由で出てこない場面が多々ある」「2マナ以上」という条件を満たすクリーチャーカードを探していくと・・・

そう、残ってくるのは「真の名の宿敵」ぐらいしかいなくなるわけです。
(まぁ、細かいところだと霧虚ろのグリフィンとかもいますけど・・・・)

つまり、「対象とできるカードの範囲」で言えば対抗呪文の優位性は呪文貫きに比べてそれほど多くないということが言えそうです。

では、もう一つの優位性「確定カウンターである」という点はどうでしょうか。

確かにこれは無視できません。私自身もこの問題点から「対抗呪文2枚」「呪文貫き2枚」の構成を長い間とり続けていました。

その答えは高橋プロのサイドボードにありました。

メインデッキの弱い点をサイドボードで補う

このMagic: The Gatheringの原理原則を忘れるところでした。

呪文貫きの「軽さ」は不要だが、「非クリーチャー呪文」に対して警戒が必要なデッキ相手にはこれを使えばいいわけです。

奇跡同型でも強いカードですので、無理に3色にする必要もなくなります。

さて、ドビンの拒否権をサイドボードにとっているこの構成ですが、呪文貫き3の構成と同様に「どのカードを削ったか」が重要になります。

その枠は「狼狽の嵐」です。

そもそも、狼狽の嵐の役割が「打ち消し合戦に強い」「1マナで打ち消せる(先手2ターン目のトーラックへの賛歌など)」になるわけですから、前者の役割をドビンの拒否権/後者の役割を呪文貫き と、分散させることで狼狽の嵐と同じ役割を達成できるわけです。

しかも、これによってインスタント/ソーサリー以外のカードにも対処できるようになるという副次的というには大きすぎるメリットも発生するわけです。

カウンターのとり方でここまで既存のデッキ構築から一歩抜けた構築になるというのは凄いことです。
結果が実際に出てからなら、この記事のように「当然の帰結」になりますが、それを開拓できるプロのすごさを感じたレシピでした。